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黒沢清監督の代表作「回路」。当時としては珍しくネットをテーマにしていますが、その難解で複雑なストーリーや意味深な演出が物議を醸しました。
一部カルト的な人気を誇る本作ですが、一見しただけでは何が起こっているかよくわからず、意味不明な感想を持った人も大勢いました。
一体なぜ「回路」の人々は消えてしまったのでしょうか?
映画回路が意味不明と言われる理由とは?
「カリスマ」久々に再見。黒沢清は「CURE」→本作→「回路」と繋げてゆく事で死と破壊を個人/社会→世界に拡大していったとも取れます。それ以降次第に物語・イメージが明快化(ジャンル映画化/商業映画化に置き換え可能)を辿ったようにも思え、私はやはり暗喩に満ちていたこの時代の作品が好きです。 pic.twitter.com/8RXpgrmdrb
— 阿乱隅氏 (@yoiinago417) September 12, 2020
黒沢監督はエンターテイメントに特化してるわけではなく、その独特な感性に貫かれた作品群は多分なメタファーを含んでいました。
監督しての強いこだわりをもって制作に臨んだ表れでしょうか、「回路」におけるあの世と死の解釈は斬新なものでした。
決して全てをわかりやすく描かず受け手の考察に委ねる作風ゆえに、途中で振るい落とされてしまう人も多かった模様です。
先日映画を見る回で見た「回路」
世界に現在の知識においてバグとされるものがあると考えているタイプの人類はちょっと興味を持つと同時にせやなとなると思うよ— 春夏秋冬 一十二 (@Tempus__Memoria) September 7, 2020
「回路」はタイトル通りインターネットを介した話で、あの世がこの世に浸食してくるバグを扱ったものでした。
パソコンやネットに親しんだ視聴者なら作中の用語や超常現象を噛み砕きやすいですが、反対にパソコンに不慣れか、日常的に使っていてもそこまで詳しくない人は敷居が高く感じたのかもしれません。
映画回路のあらすじ
舞台となるのはインターネットがまだ電話回線で繋がっていた頃。
「幽霊に会いたいですか?」と問うサイトの噂が次第に広まっていき、やがてそのサイトにアクセスした人間が不気味な黒い影だけを残して謎の失踪を遂げる。
実はこれは死者が増えすぎてあの世のスペースを圧迫した為、彼らの魂が回路を通じてこの世の人間の身体を乗っ取る現象だった。
主人公の川島と彼が想いを寄せるミチは、あの世の浸食を受けて滅びゆく世界で生き延びる道を模索する。
黒沢清監督の映画は意味不明な作品が多いのか?
黒沢清監督の映画『回路』観た。ホラー作品でありながら、意外にもメッセージ性の強い作品だと感じた。最初の漂流していた手紙が他国に流れ着いたというシーンが伏線であり、この作品のテーマを物語っているのではと感じた。影や形、動く者など様々な幽霊もちゃんと怖い。点と点もなかなか興味深い。 pic.twitter.com/01wpyIT6Zi
— チートス (@cu8wsk) September 12, 2020
黒沢監督の作品は周到に張り巡らされた伏線が特徴です。無意味な演出があとで意味を持ってきたり、かと思えば「あれは何だったんだ?」と視聴後もひっかかる映像的な違和感があったりと、作品ごとに企みに満ちた趣向を凝らしています。
頭をからっぽにして観る娯楽作品というよりは、伏線を読み解いて全体像を推理する実験作が多く、より難易度を上げているのかもしれません。
黒沢清監督って多分ホラーそのものというより人間の姿をしているが人間性を失っているものに興味がある人なんだろうなと思っている それが幽霊であったりサイコパス殺人鬼であったり社会性を持たない若者だったりするんだろうと思う
— さち!!! (@sachi_kikaku) September 6, 2020
黒沢監督の作品はホラーに分類されますが、殺人鬼や幽霊など、恐怖の対象は多岐に及びます。
怪異の実体よりも、その恐怖が人から人へ波及していく過程に興味を持っているので、わかりやすい脅かし要素を求めると拍子抜けかもしれません。
まとめ
「回路」が意味不明、わかりにくいといったイメージを持たれているのは、伏線が張り巡らされたストーリーの難解さによるところが大きいみたいですね。
登場人物も全てをハッキリ説明せず、演出のメタファーに委ねてしまうので、世界観や結末を想像で補完するのが好きな人にはおすすめかもしれません。