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黒沢清監督作品の特徴とは?プロフィールと代表作3本を紹介

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人の心に宿る闇を映し出したかのような、不穏な雰囲気をまとったホラーやサスペンス映画の巨匠として確固たる地位を確立している黒沢清監督。

監督として俳優や女優の労働環境にとても気を使っている事でも有名で、長引きやすい撮影現場の時間の管理には特に気を付けると語っています。

今でこそホラー映画の重鎮といったイメージですが、初期の黒沢清監督の作品にはポルノ映画やVシネも多数見られている他、映画評論家として「映画はおそろしい」といったタイトルで書籍も出版しています。

この映画は面白い、つまらないといった視点で批評するような本ではなく、異質とも言われる黒沢清監督の思考を少しだけ覗く事が出来るかもしれません。

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黒沢清作品の特徴とは?

映画のジャンルから見ても全体的に暗い雰囲気が多い黒沢作品ですが、どのような特徴があるのかを解説していきます。

黒沢清監督の作り出す恐怖

黒沢清監督の映画では、なんと言っても光の使い方に特徴があります。薄気味悪い雰囲気の中に射しこむ光の映像ひとつで恐怖心を煽っていく…といった映像の見せ方は黒沢清監督ならではの手法です。

また、不気味な光にマッチするのが、廃屋や廃墟のような「いかにも何かありそう」な建物ですが、黒沢作品=廃墟と言ってもいいくらい出現率が高いのも特徴の一つになりますので、映画を観ていて廃墟や廃屋が出てくると、黒沢清監督のファンとしては思わずニヤッとしてしまいます。

日常から異常へ

黒沢清監督の映画の特徴として、何気ない日常のシーンからなんとも言えない違和感がある事に加え、少しずつ物語が進んでいくというよりも、とんでもないレベルの異常事態へ急展開していくのも大きな特徴と言えます。

この特徴を一番強く出しているのが「クリーピー偽りの隣人」です。誰が見ても、少しおかしいな…といった違和感からこの先に起こる出来事を予測すると思いますが、ラストに向かうにつれてただの日常が異常な日々に変わっていく描写は間違いなく私達の想像を超えたものとなっています。

さらに、凶悪犯や異常者に対しても観ている側が感情移入してしまうほど魅力的な犯人が多く、俳優そのものの魅力も当然ありますが、黒沢清監督の演出によるところが大きいのも一つの特徴と言えるでしょう。



黒沢清監督のプロフィール

1981年に「セーラー服と機関銃」に助監督として参加して映画製作を学び、その2年後にはピンク映画「神田川淫乱戦争」で映画デビューを果たします。その後はレンタル専門のVシネマ「勝手にしやがれ」シリーズで、黒沢清監督ならではの特徴的な演出や映像の魅せ方からコアなファンを獲得するも、まだまだ知名度は高くありませんでした。

しかし、1997年にサスペンス映画「CURE」でその名を世界的に知らしめると、「回路」や「LOFT ロフト」といったサスペンスやホラー映画で様々な賞を受賞し、名実ともに日本を代表する映画監督の1人となります。

近年では、2020年に蒼井優が主演の「スパイの妻」がヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を獲得していて、益々今後の活躍が期待されています。

また、映画評論家としての顔もあり、他の評論家とは一線を画した視点から語られる映画作法や持論が話題になる事も多く、世界的にも注目されています。



黒沢清監督の代表作

黒沢清監督の代表作を紹介します。

CURE

あらすじ

娼婦が惨殺された猟奇殺人の現場で死体を見た刑事の高部(役所広司)は、被害者をX字型に切り裂くという連続した殺人事件を追う事となる。

しかし、本来はあるはずの殺意が犯人達には無いことに疑問を抱き、友人である心理学者に犯人の精神分析を依頼するも、その異常ともいえる猟奇的な手口の共通性を解く手掛かりは何一つ見つからなかった。

そんな中で出会った精神科医の医大生である間宮と出会うことで物語は大きく進んでいく。

みどころ

内容的にも猟奇殺人と催眠といった題材で描かれている作品ですので、全体的に緊迫感溢れる映画となっています。

元々狂気を秘めていた人間が異常な行動に走るのではなく、元々普通の人間が突然何かのきっかけで異常な行動に走ってしまうといった心理的な恐怖を描いた作品がCUREです。

黒沢清監督の映画にも多数出演している役所広司は刑事役として出演していますが、迫真の演技は観るものを作品の世界へと引きずり込んでいきます。

催眠にかかっているのはもしかしたら観ている自分達なのかもしれないといった心理的な不安と恐怖を植え付けられるような映像のラストにはどんなCURE(癒し)が待っているのかは是非、作品を観て自分なりの答えを考えてみるのも面白い作品です。

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回路

あらすじ

平凡なOL生活を送っていたミチ(麻生久美子)は、会社に来なくなってしまった同僚の田口を心配し家に行くが、憔悴しきった様子の田口はミチが目を離した隙に首を吊って自殺してしまう。

また、勤めていた会社の社長が失踪してしまったりと明らかにミチの周囲で異変が起き始めていた。

その一方で、インターネットを始めたばかりの大学生である亮介(加藤晴彦)には、インターネットを介した奇妙な現象が起き始め、不安を感じた亮介は同じ大学の春江(小雪)に相談するも…。

みどころ

回路は観る人によって賛否両論が分かれる作品です。観た人の解釈の仕方によって評価が大きく変わるのも黒沢清監督の作る映画の特徴ではありますが、その中でも回路は典型的な例ともいえる作品である為、代表作の一つとして取り上げました。

なぜこの作品が賛否両論分かれるかというと、観る人によっては、「意味がわからない」ホラー映画なのです。ホラー映画と言えば、静かなシーンで急に大きな物音がして観ている人を驚かせたり、意外なところで急に幽霊が表れて人を襲ったりといったシーンが思い浮かびますが、回路では音を使って驚かせるといった手法は一切使われていません。

逆にホラー映画が好きな人であれば、そういったシーンがどのタイミングで来るのだろうかと警戒しながら観ていると拍子抜けしてしまうかもしれませんが、映像でしか恐怖を煽らない事で内容に集中する事が出来ます。

しかし、その内容というのがまた「意味がわからない」部分が多く出てきます、これはあえて作品の中で全てを説明するのではなく、観ている人にこの作品のテーマは何なのか、この恐怖は一体何から来るものなのかを考えさせる事で恐怖を増長させたりもします。

逆に、なんだこれは…と不完全燃焼で終わってしまう人達も多いので、観る人によって評価が大きく変わるのが面白い作品です。

あなたは観終わった時に絶賛するでしょうか、それとも「意味がわからない」と感じるでしょうか。

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クリーピー 偽りの隣人

あらすじ

元は刑事であったが、とある事件をきっかけに刑事を辞めてから大学で犯罪心理学を教える高倉(西島秀俊)は、妻の康子(竹内結子)と愛犬と共に郊外の一軒家で新たな生活をスタートさせた。

そんなある日、元同僚の刑事から6年前に起きた一家失踪事件の分析を依頼される。その一方で、高倉と妻は隣に住む西野(香川照之)という男の異様な雰囲気と不可解な言動に翻弄され平穏なはずの日常が崩れ始めていく。

みどころ

原作は前川裕の「クリーピー」を映画化した作品ではありますが、人間の底知れぬ恐怖を演出する黒沢清監督の特徴が存分に溢れ出ている作品です。

映画の冒頭から引き込まれるような映像の撮り方で観る人を引き付け、なんとも言葉では言い表せない不気味なシーンが続きますが、終盤でその原因が明らかになるとスッと気持ちが楽になるような不思議な感覚に陥ります。

この不気味さや違和感の元凶はやはり隣人、西野の存在ですが、何と言っても香川照之の演技が圧巻です。

現実とかけ離れた地下室の美術セットにも驚かされましたが、気を抜くと香川照之の演技に集中してしまい話の内容が吹っ飛んでしまう程の演技は実際に見た人にしか伝わらないと思います。

最後に、クリーピー「creepy」とは「気味の悪い」という意味ですが、そのタイトル通り終始一貫して隣人である西野の底知れぬ気味の悪さが続く作品です。

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黒沢清の特徴と代表作まとめ

今でこそジャパニーズホラー映画の巨匠といったイメージですが、初期の黒沢清監督はポルノやVシネマがメインでした。

当時の時代背景として、そうした映画でデビューをして興行収入を得るといった事もありましたが、なんだか意外ですよね。

黒沢清監督の作品は、一度見た作品でもふとした時にまた繰り返し見たくなるような不思議な魅力があります。

黒沢清監督が作る映画の本質にあるのは普通の人間や何気ない日常から理不尽な事件に巻き込まれたり、ほんの些細なきっかけが原因で狂気に陥る人間を描いたりといった、日常に潜む闇に焦点を当てた作品が多いのが特徴的なので、この先もどんな人間の闇を描いた作品を作ってくれるのか楽しみで仕方ありません。

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