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2016年11月12日に公開されたアニメ映画「この世界の片隅に」。
原作は、こうの史代による漫画で、監督には「BLACK LAGOON」で知られる片渕須直が務めています。
2020年8月9日にはNHKでも放送されました。
この作品は第二次世界大戦中の広島を舞台とし、私小説の様なストーリー内容となっているので共感性が高く、色んな分野の方々から高い評価を得ています。
また、製作費を一般の方から募るクラウドファンディングで調達した事でも公開前から話題となりました。
今回はそんな「この世界の片隅に」の評価や興行収入について調査していきます。
映画「この世界の片隅に」興行収入は?
本日『この世界の片隅に』放送!声優キャストふり返り #この世界の片隅に #のん #小野大輔 https://t.co/pkzVO19BGZ
— シネマトゥデイ (@cinematoday) August 8, 2020
初めはたった63館でしか上映されませんでしたが、2019年12月19日まで1133日の非常に長い期間公開され、最終的には累計484館まで拡大しました。
公開から約3ヵ月で150万人を動員、興行収入は20億円、動員ランキングでは8位をキープし、初週から14週連続トップ10入りを達成しました。
最終的に累計動員数は210万人で興行収入は27億円を記録しています。
映画「この世界の片隅に」原作と違うところは?実話ではなかった。あらすじ声優キャスト一覧も
受賞歴
・第40回日本アカデミー賞 最優秀アニメーション作品賞
・第21回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞
・第41回アヌシー国際アニメーション映画祭 長編部門審査員賞
・第90回キネマ旬報ベスト・テン 日本映画第1位
など累計で20以上の輝かしい賞を受賞しています。
また、公式ファンブックが企画された際には、ちばてつや、高橋留美子、ヤマザキマリなどの総勢61名が漫画やイラスト、文章などで本作への思いを表現しています。
その他にもユースケ・サンタマリアや東出昌大などの著名人、文化人が対談やインタビューなどで表現しており、合計すると総勢89人が公式ファンブックに参加しました。
映画「この世界の片隅に」海外の反応・評価
海外映画評価サイトの評価は?
アメリカ合衆国の映画評論サイト「Rotten tomatoes」では、
一般視聴者40人が回答した中での満足度が85%といった数値になっています。
また、評論家74人が回答した中での満足度が97%となっていて、こちらは物凄く高評価を得ています。
・あまりストーリーに強みはなかったけど、手書きの画が見事だった。
・ユニークな視点から世界史の物語が進み思慮深く、創造的に描かれているので全家族で観るべき映画です。
・生活が細かな点まで表現されていて素晴らしかった。その一方で詳しく説明されていない事も多くて、内容もぼんやりしていて不思議だった。
・これが真実に近いものだと思う。一般の人達は誰が敵なのかなんてほとんどわからない。考えさせられる内容だった。
・今の世界情勢とリンクしていて、とてもタイムリーで強いメッセージ性を感じた。
といった色んなレビューがありました。
ただ「面白い!」、「楽しめた!」という意見ではなく、それぞれ感じた事や思った事をコメントしていた人が多かったのが個人的には素晴らしいと思います。
メッセージ性が強いので、国は違っても心を動かす様な作品だと感じました。
次に、海外大手映画データベース「IMDb」では、
8100人が評価した中で、10点満点中7.8点となっています。
Rotten tomatoesに比べたら少し低いですが、まあまあ高得点の内に入るのではないでしょうか?
・アニメのスタイルがとても美しい。広島の原爆などの歴史の重さや悲劇が語られていて心を動かされた。
・ストーリーが進むにつれて、頼りなかったすずが家族の中心となって成長を遂げる所が良かった。
・戦争中に表立って描かれない庶民の生活がどんなものか知れて良かった。深く心にしみた。正直涙を堪えるので必死だった。
・どんなに状況が苦しくても希望を失わず、ひたすら前向きに生きる様子に心打たれた。
・映像が綺麗でびっくり!ストーリーもゆったり進んで、日本の暮らしや文化をよく知れた。
こちらも多くの感じた事をコメントされていました。
やはり海外の方々は普段から感情豊かなので表現の仕方も上手いなと思いました。
海外のどこで公開されたのか?反応は?
公開された国は、アメリカやフランスを始め、約70か国で公開されています。
公開国の多さにびっくりしましたし、戦争をテーマとしているのでシビアな問題と思いましたが、意外と受け入れられている事に更にびっくりしました。
なかには否定的なコメントもありましたし、現状どこの国でも戦争が起きてもおかしくないので、それを触発するのではないのかともありました。
映画「この世界の片隅に」国内の評価
今までの「戦争は絶対に無駄だった」と「あれはアジア解放戦争だった」という毀損と美化に分かれたのだが、
戦争世代がほぼ死んだ今こそ、当時の日記を掘り起こしイデオロギーなき「普通の人々」の人生を取り戻すときにあるよね。
『戦争は女の顔をしていない』も『この世界の片隅に』もリアリズム。— Khovtoliv (@Khovtoliv) August 7, 2020
「この世界の片隅に」で、いつものほほんとしてるすずが玉音放送聞いてブチギレしたのが印象的だった。現代人の感覚なら「悲惨な戦争が終わって良かった」が当然に思えるけど、そりゃあ当時の人なら怒るのもわかるなあと。
— 大貫剛 (@ohnuki_tsuyoshi) August 9, 2020
私は小さい頃、何かしらのお話を聞かないと寝ない子供だった。
だから、家族総出であらゆるお話を聞かせてくれて、その中に戦争のお話も含まれていた。
「この世界の片隅に」を見ると、その頃お話を聞きながら想像したものと映像が重なって、自分の家族の物語のように思える。— K (@k_reflet) August 9, 2020
様々なツイートがありましたが、過去の歴史を知れる内容と戦争についても触れているので色んな意見がありました。
戦争中なのに意外とほっこりしているシーンが多いといった意見を沢山目にしました。
日本でも「この世界の片隅に」を絶賛するツイートがいくつも見受けられます。
丁寧に描かれた映像やすずさん達の人間模様に感動する人達が多数います。
めちゃくちゃ感動した!
この世界の片隅にめちゃくちゃ感動した😢
ワンカットワンカット細かい所まで色んなことこだわって作られとる感じした💦
何回もじっくり見て新しい事にも気づいていきたい😭#この世界の片隅に— るな : ه҈҉҉҉҉҉҉҉ 💕 (@yasuruna27) August 9, 2020
やっぱり、いい作品は何度見てもいいものです。
ありがとう
『この世界の片隅に』
この世界の片隅に素晴らしい作品をありがとうございました。#この世界の片隅に pic.twitter.com/BhDTgLpUdc
— カリス(支援船に心を奪われた者) (@TeamCaris) August 9, 2020
「この世界の片隅に」。今まで観た映画の中でBest10に入る作品です。
当時、テアトル梅田へ観に行って、のんちゃんと監督のサイン入り台本をプレゼントというキャンペーンに応募したら本当に当選しました。勿体なくていまだにビニール袋の封をあけてないという。宝物です。#この世界の片隅に pic.twitter.com/CVADw3T2oO— 👟ひろみ🎧 (@hirominstein) August 9, 2020
めっちゃ嫌いっすね。。
一方で、Twitterで「この世界の片隅に」を検索しようとすると、予測に「嫌い」と出てきてしまうのも無視できません。
検索をかけてみると、様々な意見が見られます。
特に、原作を知っている人達は映画の「この世界の片隅に」は作者の意図とは異なる印象を与えていると感じていました。
「この世界の片隅に」は原作は好きだが、アニメの映画は嫌い。ハッキリと嫌い。映画は特におっさんの「願い」が投影されてて原作本来の意図と真逆になってる。
あと、親戚の高齢者がほとんど被爆者で大叔父さんの背中から原爆の時刺さったガラス出てきたとか普通にあるから。ホンワカしすぎ。— 平松モルグリス (@shige_pain_yuji) August 7, 2020
「この世界の片隅に」私はめっちゃ嫌いっすね…
原作漫画は平気だったけど映画は萌え映画というか戦時中の女性や「母性」に萌えてるとしか思えないので無理です!— サオリ/SAORI🐤🐤 (@saori3) August 6, 2020
これらの投稿に見られるように原作者のこうの史代さんの世界観は虐げられてきた女性の腹の中をはっきりと描くことが特徴です。
映画ではすずさんの失敗エピソードなども、いつものことで慣れてしまった登場人物達がほっこりするエピソードがいくつかあります。
その時のすずさんの負の感情はあまり映画では取り上げられていないように思われます。
すずの姿が原作と違う
ちなみに私は『この世界の片隅に』の上映期間中にTwitterで無断アップロードで拡散されていた、こうの史代が描いた、高慢な夫に甲斐甲斐しく付き従う自称・古い女が、夫が戦争に出征したら万歳と言って送り出す面従腹背の話を読んであっ・・・(察し)となって見に行くのをやめましたし、嫌いです
— ヴェンデッタ (@vendetta82043) August 9, 2020
マジでそれ…………。すずさんがほっこりの象徴みたいに扱われてるのはあまり好きじゃない。こうの史代作品は、いつでも、ほっこりしようとするこちらをズブリと刺してくる。映画はいい出来だと思うけど、その鋭いトゲをまあよくもこれだけ綺麗に抜いたなとは思ったな、この世界の片隅に。
— はなびら葵 (@hollyhockpetal) August 6, 2020
映画では周作さんがすずさんを嫁に選んだ理由がぼかして描かれていますが、原作では割とはっきりと信じられない真実が語られているらしいです。
この世界の片隅に、よく知らない人である夫がすずを選んだのは、風俗の女性を嫁に迎えようとして家族に大反対され破談になり、じゃあ幼い頃一瞬すれ違った女性を連れてきたらそれと結婚してやる! 的なキレ方をしたら本当に連れてこられてしまったのがすず、という流れなので、
— ろきお (@ro_ki_) August 7, 2020
すずさんが現代の女性であれば、この結婚にノーと言うことができたかもしれません。
第一、家族に大反対された風俗の女性が最も貶められています。
嫁候補の女性という家族の中で最も弱い立場にある人間が意見を聞いてもらうべき結婚のシーンで真実がうやむやにされていては、いくら戦時下の日本を女性視点で描いた名作といえども、批判されるのはまぬかれないでしょう。
続編「この世界のさらにいくつもの片隅に」の内容
実は、「この世界のさらにいくつもの片隅に」という続編が出ています。
「この世界の片隅に」ではもやっとしたシーンの理由が解き明かされるような、さらに詳しいすずさん達の関係性や心情が見られる作品になっています。
この世界の片隅にはリンさんとのそれからのシーンは尺の関係で泣く泣くカットされています。
ご覧になりたい方は「この世界のさらにいくつもの片隅に」をご覧下さい。
新たなシーンが付け加わっただけでなく録音も録り直し絵も修正されています。#この世界の片隅に#さらにいくつもの片隅に pic.twitter.com/kyCUWsFQGK— すず@この世界の片隅に (@new83855080) August 9, 2020
「この世界の片隅に」
「この世界のさらにいくつもの片隅に」…は、全く別物の映画です。
「この世界の」では丸々カットしたリンさんとのお話が追加されると、印象が大分変わります。
「いくつもの片隅に」は…すずさんの”女性”としての部分の葛藤とかが出てくるので、子供には難しいかも(苦笑)
— 擅樺 (@DhSAkoJSK4dksCs) August 9, 2020
「この世界の片隅に」は75年前の日本を舞台にした作品です。
女性の権利が今ほど認められていた時代ではありませんし、ましてや戦時中でした。
今見るとそんなバカなと思う人がいてもおかしくないのです。
原作との違いも映画としてストーリーを組み直すにあたって、泣く泣くカットされた名シーンが数多くあります。
それでもいいから伝えたかったメッセージが映画「この世界の片隅に」にはありました。
この映画を見て、さらに原作を読んだり、「この世界のさらにいくつもの片隅に」を見たり、戦争の史実を調べたりして、戦時下の生活や女性の生き方に関する理解を深めていくのがいいかと思います。
「この世界の片隅に」は面白い?
「この世界の片隅に」は戦争の時代を舞台にした映画ですが、ほとんどがすずさんの日常のシーンばかりです。
子供時代に兄と妹と楽しく遊ぶシーンや、仲が良かった男の子とのエピソードがあります。
結婚してからも少ない食糧でどれだけお腹いっぱいになれる食事が作れるか試行錯誤したり、出戻りの義姉の娘・晴美さんとのほっこりするエピソードがあったりします。
終戦の日が近づくにつれて、夫が訓練で家を空けたり、空襲の後に義父が帰って来なかったり、だんだんと不穏な空気になり、すずさんにも戦争の爪痕が残ってしまい、原爆、終戦と物語は進みます。
目をそむけたくなるようなシーンもありますから、苦手な人は原爆のシーンに気を付けていただけるとよいかもしれません。
ほんわかしたシーンが多い作品ですが、そのささやかな幸せを奪っていく戦争があったこと、その現実を受け止め今まで強く生きてきた人たちがいたことを突き付けられる映画になっています。
まとめ
いかがでしたか?
日本ではそうですが、海外でも意外と受け入れられている事に驚きました。
意見も感情豊かなのが多かったのですし、内容としてもメッセージ性が強いと思うので気になる方は是非ご覧になられてください。